01 都市をリノベーション


渡辺通エリアにおいて、新たな〝まちのリノベーション〟が動き出す


福岡市における都心再開発の核である天神エリア、博多エリア、ウォーターフロントエリアに次いで、新たな拠点となるポテンシャルを秘めているのが渡辺通エリアです。渡辺通エリアでは、〝対話〟から始まるソフト面や生活者視点も重視した〝新たなまちづくり〟が、いま始まろうとしています。

九電グループの有志らで組織する勉強会である『わたなべ―ス実行委員会』は 2024 年6 月14 日、esports Challenger’s Park(旧ロフトビル8 階)において、渡辺通座談会である、『わたなベース ~Innovation が生まれるまちには何が必要か~』を開催しました。第1回目となる座談会のテーマは『都市をリノベーション』でした。当日、約 80 人が参加した座談会では、公共空間のマッチング事業『公共 R 不動産』や都市公園内での宿泊施設『INN THE PARK』などを立ち上げたOpen A Ltd.の馬場正尊代表をスペシャルゲストに招いて、〝都市の公園化〟をはじめとした最新例を知る機会になりました。

引き続いての登壇者によるディスカッションでは、天然芝広場を生かしたまちづくりや既存の建物を活用したまちの魅力化などについての討論が熱心に繰り広げられました。

そして、来場者を交えたディスカッションでは、「まちづくりにおける可変性」や

「人口構造の変化に応じたまちづくり」などに関する質問や意見も寄せられ、参加者らも一体になって地域の未来について考えました。

その後、登壇者と来場者らが懇親・懇談する場も設けられており、都市のリノベーションやイノベーションが生まれるまちづくりの在り方などについて、語り合う参加者の姿も各所で見られました。

渡辺通座談会『わたなベース』登壇者発言要旨

渡辺通座談会である、『わたなべ―ス ~Innovation が生まれるまちには何が必要か~』では、スペシャルゲストをはじめ各界で活躍されている方々が登壇されて、熱心なディスカッションが繰り広げられました。

第1回目のテーマは、「都市をリノベーション」でした。開催当日、座談会に登場された方々によるやりとりや発言内容を整理・編集したメッセージを掲載します。

SpecialGuest

OpenALtd.

馬場 正尊 代表

既存建物も活用した幸せな〝共犯関係〟がカギを握る

特定のエリアが変われば、まち全体も変わっていきます。

アメリカ・ニューヨークのブライアントパーク(Bryant Park)は今日、地域の人々にとってのコミュニケーションツールとなり、公園の運営会社は大きな収益を上げています。

一方、東京都豊島区では、公園を都市政策として位置付けています。大きな企業と小さな会社の4 社で共同運営する南池袋公園は、園内で挙式をするカップルが登場するほどの人気があり、街の魅力にもなっています。

また、通りそのものを公園にした『有楽町スリットパーク』(東京都千代田区)は、地域の未来を導く公園として注目を集めています。有楽町スリットパークでは、隣接するビルの1 階部分を抜いた形での〝都市の公園化〟も実現しています。

渡辺通エリアにおける広場を核とする取り組みは、バランスの良いまちづくりになるとみています。渡辺通りに面したビルとビルの間にスリットパークを設け、ビルの1 階を抜いて奥にある広場と一体化することで、魅力的な空間になることも妄想しています。そうなれば今後、スタートアップ企業向けのシェアオフィスや人々が交流できるスペース、さらにはビジネスマッチングの場としての活用なども可能であり、オープンイノベーションが自然に起きていく場所になるでしょう。

昨今、都市間競争が激しさを増す中、各都市・地域はキャラ立ちを求められており、「どんな人や企業に来て欲しいのか」というメッセージの発出は大事です。

そして、大企業と小さなプレイヤーのスタートアップ企業や個人事業主が互いに補完し合いながら共に発展していく、いわば〝共犯関係〟の構築もカギを握ります。横丁的な場所において、小さなプレイヤー向けに老朽ビルながらも安価な賃料で借りられる物件があれば、結果的に〝幸せな共犯関係〟が築けます。

渡辺通二丁目プロジェクトにおいては、九電グループをはじめとする少数の地権者でまちに大きなインパクトを与えられる点は大きな資産です。今後、渡辺通エリアのまちづくりにおいては、渡辺通スクエア(渡辺通二丁目1番街区)のビル群1階のデザインが、カギを握っていると考えます。

SpecialGuest

九州大学大学院

黒瀬 武史 教授

人々を巻き込んでエリアを面白くする仕掛けの実装に期待

日本の大都市の再開発は、事業収支を中心に考えると、どの街でも、同じような用途構成のプロジェクトになること多いのが実態です。

渡辺通エリアは、薬院や春吉、高砂、清川といった個性的な地区に囲まれ、再開発が進む天神や博多駅周辺とは異なる魅力を備えています。その一方で区画ごとに個別に再開発するだけでは、このエリアの可能性を活かしきれない気がしています。

渡辺通エリアを〈どういう場所にしていくのか〉〈どんな人たちに来てもらいたいのか〉という議論を、地域の人たちとも一緒になって考えていく場を作り上げていくことは、まちの将来像を具体化するうえで極めて大切なプロセスです。

本日の座談会は、エリアの将来を考える作戦会議の場だったといえるでしょう。渡辺通エリアは余白や伸び代も多い地域であり、多様な方々を巻き込んで、エリアを面白くする仕掛けが生まれ、エリアに実装されていくことに期待しています。

SpecialGuest

地域環境リノベーション計画

松口 龍 代表 (九州大学大学院客員教授)

最低限のしつらえを整えた余白が営みを生み、街のキャラクターとなる

「あえて、この地に関わりたい」という強い思いが、まちづくりで大事です。 福岡市を選んで移り住んで来た人をはじめ、平尾や六本松の奥まったユニークな

スポットでお店を構える人たちにも共通していると思います。

福岡というまちの面白いところは、とにかく近い点です。まち自体がコンパクトで職住接近の豊かさがあり、都市のど真ん中でも暮しやすく魅力です。

渡辺通エリアの場合、博多駅エリアや天神エリアへ歩いて移動できます。また、大きな企業と共に小さな企業や個人、さらに地域の人たちとも一緒に取り組んでいるまちづくりは、価値のある活動です。

まちづくりとして、最低限のしつらえだけを整えて他を余白にすると、みんながいろいろ考えて営み、それらが街のキャラクターになり得ます。

何事も本番に向けた練習が大事であり、その素振りの一つが今回の座談会です。これらを積み上げが、今後のまちづくりで重要になります。

SpecialGuest

NEWVILLAGE&PROJECTS

新村 朝和 代表

一人一人の熱量が重なり合うと、面白いコトが起きる

私自身は、もともと住居仲介を手掛けていましたが、昨今では古民家などを改装したお店のオープンで注目されがちです。仕事上で面白い人たちと出会うことも多く、中には「将来的にお店を出したい」という若者らも多くいます。

実際、店舗を探している人は大勢います。このため、住居の入居者募集で困っている不動産オーナーに店舗可能住居として募集してもらうと、開店希望者は安い賃料で借りられるので、すぐに借り手が現れます。

これまで六本松や平尾で 50~60 店舗をオープンさせてきた中、一人一人と向き合うことで点から線になり、面になったという感じです。一人一人の熱量が大事であり、重なり合うと面白いコトが起きます。

一方、『渡辺通り』という大通りを知っていても、『渡辺通』という地名を知らない人も多く、まず渡辺通というエリアとしての認知が必要です。逆に言えば、余白が多い証であり、ある意味で可能性しかないエリアといえるでしょう。

SpecialGuest

URBANIX

岩淵 丈和 代表 (九州大学大学院博士課程在籍中)

渡辺通エリアでもまちのナビゲーターが魅力を高めていく

私は九州大学大学院の博士課程に在籍しながら、同分野で会社を経営しています。大学院では、平尾や六本松、熊本の上乃裏において、クリエイターや個人店がどのようなメカニズムで増加しているかを研究しています。

現在、福岡市内では「裏六本松」と呼ばれる六本松の奥まったスポットが人気です。安い賃料に引き寄せられて小さいお店が集まり、歩きたくなるまちになっています。このようなまちをつくるためには、面白い人と建物を繋ぐ新村さんのような

「まちのナビゲーター」の存在が重要です。

渡辺通エリアにおいてもまちのナビゲーターは必要であり、その存在が、渡辺通エリア自体の魅力を高めていくことになるでしょう。

SpecialGuest

aptp

滝口 聡司 代表 (明治大学アジア建築都市研究所客員研究員)

渡辺通座談会は、まちづくりの第一歩であり、起爆剤になる

私は九州大学大学院の博士課程に在籍しながら、同分野で会社を経営しています。大学院では、平尾や六本松、熊本の上乃裏において、クリエイターや個人店がどのようなメカニズムで増加しているかを研究しています。

現在、福岡市内では「裏六本松」と呼ばれる六本松の奥まったスポットが人気です。安い賃料に引き寄せられて小さいお店が集まり、歩きたくなるまちになっています。このようなまちをつくるためには、面白い人と建物を繋ぐ新村さんのような

「まちのナビゲーター」の存在が重要です。

渡辺通エリアにおいてもまちのナビゲーターは必要であり、その存在が、渡辺通エリア自体の魅力を高めていくことになるでしょう。

座談会参加者アンケート結果

回答者の属性(回答者:21人)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【年齢】~20歳代:2人、30歳代:3人、40歳代:2人、50歳代:11人60歳代:2人、70歳代:1人

【性別】男性:17人、女性:3人、未回答:1

【住所】福岡市内:16人、福岡都市圏:2人、福岡県内:0九州内:1人、九州外:0人、未回答:2

Q1】今回の『わたなベース』座談会の開催をどのようにして知りましたか?該当する選択肢を1つ選んで、チェックを入れてください。

□友人・知人からの案内: 11 人(52.4%)

□所属企業・組織内からの案内: 9 人(42.9%)

□社外団体からの案内: 1 人(4.8%)

□案内チラシを見ての参加: 0 人(0%)

□その他( ): 0 人(0%)

Q2】今回の座談会『わたなベース』に参加したきっかけを教えてください(複数回答可)

□本日のテーマやまちづくりに関心がある 15 人

□本日の登壇者の話を聞いてみたかった 14 人

□渡辺通に関心がある 10 人

□他の参加者とつながりたい 5 人

□未回答 3 人

Q3今回『わたなベース座談会についての満足度は如何だったでしょうか

□大いに満足: 13 人(61.9%)

□だいたい満足: 5 人(23.8%)

□やや不満: 0 人(0%)

□大いに不満: 0 人(0%)

□わからない: 3 人(14.3)

Q4】今後、『わたなベース』座談会で取り上げほしいテーマ分野がありますか?

□文化・芸術分野: 10 人

□自然・グリーン分野: 6 人

□教育・学び分野: 6 人

□居住・環境分野: 6 人

□食・健康分野: 5 人

□治安・安全分野: 5 人

□防災・減災分野: 5 人

□交通・移動分野: 4 人

□国際化・多国籍分野: 2 人

□高齢化・人口減分野: 2 人

□その他(子育て、マネージメント)

Q5】次回『わたなベース』座談会を開催する場合、再び参加したいと思いますか?

□ぜひ参加したい: 13 人(61.9%)

□テーマや日時次第で参加したい: 7 人(33.3%)

□あまり参加したくない: 0 人(0%)

□まったく参加したくない: 0 人(0%)

□わからない: 1 人(4.8%)

Q6】今回『わたなベース』座談会に参加されてのご感想やご意見ご質問、アイデアやアドバイスなどのメッセージがありましたら、ご自由にお書きください。

  • 極めて価値ある座談会(50 歳代/男性/福岡市外)
  • 有意義な時間となりました。こうした開かれたディスカッションの場が少ないので今後も続けて欲しいです。

〝維持〟の部分はとても大切と感じました。そこを〝地元〟とする人が帰れる地域であって欲しいです。(50歳代/女性/福岡市内)

  • 福岡市内は開発が進み、昔ながらの街並みや路地裏が消滅して行く事を残念に思っています。発展して行く事と残して行く部分のバランスをしっかり話し合い、市内開発の手本となる事を期待します。しかしながら北九州の旦過市場の例もある通り、インフラを含めた安全性について協議してもらいたいと思います。(50 歳代/男性/福岡市内)
  • わたなベース期待大です。楽しい空間になりそうですね。町づくりに参加できたら嬉しいです。天神で仕事に就いて 38 年、天神界隈の変化を見てきたので未来が気になっています。歩道が狭い、自転車が通りにくい、モノレールや地上の歩道もあるといいのにといつも思います。(50 歳代/女性/福岡市内)
  • 極めて示唆に富むキーワードが多く出され、有意義な座談会となりました。市は今後フラワーショーも開催していくとの事なので、相乗効果を起こせたらいいなと思います。(50 歳代/男性/福岡市内)
  • たまたま開催を知り参加しました。このような大規模な開発をオープンに討論する機会がある事、これを一緒に伺うことが大変嬉しく感じました。コンセプトまでを決めていくのは大変なプロセスと思いますが今後の展開に期待です。オンラインではなく、リアルのみという試みもいいと思います(30 歳代/男性/福岡市内)
  • 普段、渡辺通の周辺に住んでいる方々の意見がダイレクトに聞くことができ大変良い機会だった。(~20 歳代

/男性)

  • 子ども子育てテーマはぜひやって頂きたい。大人たちが子供のいるまちについて語り合うだけでなく、子どもたち自身が自分らのまちがどうあって欲しいか、どうしたいかと語り合う機会が必要だと思います。子供が大人になった時、彼らの記憶の中にある感覚(音、におい関係、風景)を大切にできることで今日のお話に出てきた「つくる」と「まもる」の感覚(視点)を持てるのではないでしょうか。(40 歳代/女性/福岡市内)
  • 考え方がリベラルすぎて、全体としてさわがしい感じがした。(60歳代/男性/福岡市内)
  • とても刺激的な内容と大きな学びがあった。継続的に参加させて頂きます。ありがとうございました。(50 歳代/男性/福岡市内)
  • 大変参考になりました。(70 歳代/男性/福岡市内)
  • 経験に基づく提言に参考になる部分が多かったです。街は予定調和じゃないから面白い!(50 歳代/男性/福岡市内)

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